ベーリック・ホールとは
ベーリック・ホールは、横浜市中区の山手地区にある歴史的な洋館です。イギリス人貿易商バートラム・ロバート・ベリックの邸宅として、1930年に建設されました。設計はアメリカ出身の建築家J・H・モーガンで、山手111番館と並び彼の住宅建築の代表作の一つである。スパニッシュ様式で、多彩な装飾が施された外観と、広々とした内部が特徴です。現存する戦前からある住宅としては最大規模で、建築学的にも価値のある建物です。
ベーリック・ホールの歴史
ベーリックはロンドン出身で、1898年に25歳で来日しました。文房具や機械、和紙、漆器などを扱う貿易商社「ベリックブラザー商会」を継ぎ、1919年には「ベリック商会」に改めました。東京の駐日フィンランド大使館からフィンランド領事への就任を要請され、このベリック邸で執務を行いました。第二次世界大戦が近付き、家族でカナダのバンクーバーに移住しました。1952年にカナダで永眠しました。
ベーリックの没後はカトリック・マリア会に寄贈され、同会の運営するセント・ジョセフ・インターナショナル・スクールの寄宿舎として使用されました。「ベーリック・ホール」の名称は、マリア会の命名によるものです。2000年に同校が閉校となった後は横浜市が敷地を取得し、建物も市に寄贈されました。2001年には横浜市認定歴史的建造物に選定されました。元町公園の一部として整備が行われ、2002年より一般公開されています。
ベーリック・ホールの見どころ
ベーリック・ホールは地上2階・地下1階建てで、地下は鉄筋コンクリート構造となっていて地上部分は木造です。外観は穏やかなクリーム色の壁や西洋風のオレンジ色のスパニッシュ瓦、かっこいいアーチ型の玄関ポーチ、クワットレフォイル(英語版)と呼ばれる窓の様式などに特徴が現れています。
内部では応接間や食堂、居間とこれに続くパームルームなどが1階に造られています。食堂と居間には当時の面影を感じさせる暖炉があります。パームルームは横浜港を見渡せるように工夫を凝らして北側に作られたもので、獅子頭の壁泉が設えられています。2階は主に寝室として使われていました。
主人・婦人・子息と来客用の寝室にはそれぞれ浴室が付いています。ベリックの息子は、建物完成時には20歳であったが、山手地区の洋館で唯一子供用に設計された部屋であることから、子供部屋は小さな男の子の部屋として再現されています。その室内の壁はターコイズブルーで、フレスコ技法で再現されました。主人の寝室では、寄宿舎として使用された経緯に関する資料が展示されています。
住所
231-0862 神奈川県横浜市中区山手町72
電話番号
045-663-5685
開館/閉館時間
9:30~17:00
休館日
第2水曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29~1/3)
アクセス
- みなとみらい線「元町中華街駅」6番出口(アメリカ山公園口)から徒歩8分
- JR京浜東北・根岸線「石川町駅」より徒歩15分
- JR京浜東北・根岸線/横浜市営地下鉄ブルーライン「桜木町駅」⇒あかいくつバス「港の見える丘公園前」下車 徒歩8分
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